月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「い、犬?」
腕の中に、灰褐色の子犬が飛び込んできた。
柔らかくて、温かい体が愛しい。
子犬は、あたしの腕の中でもぞもぞ動いて、鼻先をアゴにこすりつけてくる。
「可愛い」
「ほらね。苦手でいるのは、無理でしょ? ただ、そんなちっこいけど、狼って言ってほしいと思うよ」
「でも、この子は」
動物だからと言おうとしたけど、腕の中の感触が変わって、あたしは視線を落とした。
ふわふわした体毛の感触はなくなり、すべすべした感触に変わって――。
「子供!? さっきの子犬は?」
「おおかみだよ!」
腕の中にいたのは、裸の男の子だった。舌足らずな口調で反論してくる。
「その子よ」
「えっ……だって、子犬だったでしょ?」
「そうよ。おいで」
絢華さんが手を伸ばすと、あたしの腕の中にいた子供は、喜んで彼女に腕を伸ばした。