月の絆~最初で最後の運命のあなた~
玄関の扉は閉まっていたけど、絢華さんはチャイムも鳴らさずに入っていく。
「冬呀! 連れてきたわよ」
声をかけると、奥から顔を覗かせた。
「ああ、ありがとう。マリア、こっちだ」
冬呀に示されたのは、入ってすぐのソファー。たしはルナを下ろした。
「わたしは、この子に服を着せてくるから」
暖炉のあるリビングにあたしは通され、絢華さんは奥の部屋へと消えていく。
残されたのは、あたしと冬呀。
「ココアで良かったかな?」
木のテーブルにカップが置かれ、あたしは席についた。
壁には、牛の頭蓋骨と見事な模様のタペストリー。
暖炉の前には、たくさんのクッションとソファーがある。
冬呀は独り暮らしをしていそうだけど、所々に置かれた調度品は、一人だけで使うものじゃないように見えた。
失礼だと思ったけど、一通り眺めてから冬呀に視線を向ける。