月の絆~最初で最後の運命のあなた~


「話って、なんですか?」


 昨日のアニーからはじまり、冬呀、琅吾さん、さっきの男の子と見てきたから、ただの世間話じゃないことくらい分かる。


「あたし、遠回しな話とか、無駄な説明って好きじゃないんです。何の話かは分かりませんが、要点だけ言ってください」


 失礼な物言いだとは思った。


 でも、彼は気にした様子もない。


 それどころか、安堵したような笑みを浮かべた。


「じゃあ、単刀直入に言う。君は――俺たちと同じなんだ」


「……えっ?」


 あたしの頭の中は、真っ白になった。


 同じって何?


 彼が何を言っているのかわからない。


「俺たちは、狼に変身する者……狼シフターだ。君が一緒にいる人狼と違って、自由に変身ができる」


 狼シフター。


 その言葉が、心の中に染み込んでいく。まるで、土が水を自然に吸っていくように。


 でも、今の話の中に、素直に吸い込めないものがあった。


「な、なにを言ってるんですか? あたしは変身なんて出来ない。ただの人間よ」


 人間の両親と兄がいる。


 一度だって、あたしは狼の姿になったことはない。もちろん、家族も。


 両親から説明を受けたこともない。


 なのに、冬呀は言い切った。







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