月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「思い当たるだろ? アヤから、何度も報告は受けてる。マリア……君は、前アルファ夫婦の子なんだよ」
冬呀は、一枚の写真をこちらに差し出した。
それをあたしは、真実を見る恐怖と真実を知りたい好奇心に震える手で受け取った。
写真に写っていたのは、赤ん坊を抱いて嬉しそうに笑う夫婦。
最高に幸せだってことが、写真から溢れでている。
「二人は、どこに?」
「亡くなっている。君が産まれて、半年後のことだ。あの頃、この場所をめぐって、酷い争いがあった。一番狙われるのは、アルファの夫婦だ。だから、君を誰かに預けたんだろうと考えている」
「でも、どうして二人の子だとおもったんですか?」
「俺のアルファとしての本能かもしれない。二人は、誰にも君の預け先を言わなかった。でも、人間社会で狼の姿になるのは危険だから、ずっと探していたんだ。まさか、こんなに近くにいるとは思ってもいなかった」
冬呀は、泣きそうな顔で笑った。だから、申し訳なくなったけど、真実は変わらない。
「悪いけど、あたしは狼の姿になれない。人違いよ」
写真を返して、もう出て行こうと立ち上がろうとすると、太ももに圧力を感じた。
「ファングか」
冬呀にファングと呼ばれたのは、真っ白な狼だった。