月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「そいつも、君を仲間だと核心してるみたいだな。ファングも狼シフターなんだ。君とは逆で、 生まれた時から人の姿になれない」
ファングは、美しい琥珀色の瞳で見つめてくる。
思わず首もとに手を伸ばした。危険なんてことは頭に浮かばず、柔らかい毛の感触を楽しんだ。
その感触に、自然と涙がこぼれてきた。
「あれ……なんでだろ」
「君は、群れが恋しかったんだよ。俺たち狼シフターは、群れがないと不安定になる。何より、今の君の家は群れとしては最悪の状態だ」
冬呀は、すべてを知っているように言った。
「分かってる。だから、あたしがどうにかしなくちゃいけないの」
「その気持ちは分かる。だが、あの吸血鬼に頼むのは、正しくない。君の人生が台無しになってしまう」
ファングを撫でる手が止まった。レンの事や、あたしがどうしようとしたかを絢華さんに話したことはない。
「どうして、知ってるんですか?」
「俺たちは、人間じゃない存在には敏感なんだ。まあ、アヤに会ったのに人狼は気がつかなかったみたいだけど」
ステーキハウス〈バイソン)での絢華さんの態度は、そのせいだったのかと思えば納得がいく。
「その傷は、人狼の女たちの仕業だろうな。マリアの彼氏は、人狼のアルファだろ?」