月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「彼氏……ええ、アルファよ」
「あいつの群れの女たちは、この土地に置き去りにすれば、マリアの命はないと思ってやったはずだ」
「とんでもない女よね」
割って入ったのは、嫌悪に顔をしかめた絢華さんだ。
「どういう事?」
「俺たちは、他者の侵入を許さない。たとえ、知らずに足を踏み入れたとしてもな。ここには、子供たちもいるんだ。危険になる前に、排除する。とは言え、深くは知らないらしい」
冬呀は馬鹿にするように鼻で笑った。
「俺たちは、ただの獣じゃない。無知な人間が無断で入ってきても、殺しはしないさ。俺たちが排除するのは、人間以外の生き物だ」
「マリアだったから良かったけど、もし他の種族だったら……見つけた子たちが引き裂いてたと思う」
「じゃあ、あの時の光は……狼の目?」
「そう。知らせにファングが来てくれて良かった。あの時、あの辺りにいたのは大人の階段を上ったばかりの子たちだったから」
その言葉に、ぞっとした。
一歩間違っていたら、あたしは肉片になっていたのだ。
「ところで、マリアは話を受け入れられた?」
「えっと、それは……」
「アヤ。そう急かすもんじゃない」
冬呀が間に入ってくれたけど、狼呀の時と同じで、あっさりと心の中に入ってくる話だった。
不思議だと思う。今までの生活が、嘘だと言われたのに。
でも、あたしの中の本能は、今の話とこの場所を受け入れろと爪を立てる。
「少し、時間は必要だと思う」
「そうだよね。ここで、いくらでも時間をかけるといいよ」
「そのほうがいい。アヤの家の近くに、マリアの両親の家がある。手入れはしていたから、そこに泊まるといい」
冬呀は鍵を取り出した。無理に受け入れようとさせないところが、ありがたかった。