月の絆~最初で最後の運命のあなた~

「よければ、見に行ってみるか?」


「いいんですか?」


 その申し出が嬉しかった。


 考えるより、すぐに行動したほうがいい。


「ここからも、そんなに離れていないんだ。特にきみの両親は、群れの近くにいることを選んでいた」


 冬呀に促されるまま立ち上がり外に出ると、ファングも着いてきて、あたしの横についた。


 その様子を、冬呀は楽しそうに見ている。


「まさか、そこまでファングがなつくとはな」


「……そうなんですか?」


「ああ。俺にしか心を開いていない。たぶん、マリアと何か通じるものでもあるんだろう」


 あたしは、ファングを見つめた。


 話が本当なら、狼の姿になれないあたしと、人間の姿になれないファング。


 あたしたちは、半身を失っている。


 もしかしたら、絆があるのかもしれない。


 そんな風に思っていると、ファングが唸り声をあげた。


「まあ、許してやれよ。あいつらも、マリアのことが気になってるんだからな」


 そう冬呀に言われて、辺りを見回してみると、たくさんの人々があたしを見ていた。




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