月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「それから、このオオカミは俺だ。一度、子守りを頼まれた時に、一緒に寝てしまった俺たちを、聖奈(みな)と勇利(ゆうり)が面白がって撮ったんだよ」
「ミナとユウリ?」
「そうか、名前を教えていなかったな。マリア……君の両親の名前だよ」
冬呀は、少しだけ悲しそうな顔をしながら、他の写真に目を向けた。
「君の父親は、勇利って響きを女々しいと言って嫌がっていた。よく仲間内でからかったものだ」
懐かしむように、冬呀はリビングを見回した。
きっと、この場所には笑い声が響いていて、幸せな時間が流れていたんだと思う。
あたしも、その時間の一部になりたかった。
この場所で育ちたかった。
そうすれば、ずっと純粋なままでいられたかもしれない。
「ここで……暮らしたかったな」
自然と、そんな一言がもれていた。
「今からでも、遅くないさ」
冬呀は、ゆっくりと優しく抱き締めてくれた。