月の絆~最初で最後の運命のあなた~



 その抱擁は、まったく性的な意味を持たない、大きな愛をを感じさせた。


 温かくて、強くて、優しいオオカミ。


 あたしは、彼を知っている。


「ありがとう……見つけてくれて」


「マリア?」


 不思議そうな声を出した冬呀は、あたしを抱き締める腕に力を入れた。


 古くて、擦りきれた記憶だけど、オオカミの毛皮に手を滑らせたことがよみがえってきた。


 心も、冬呀を覚えている。


 この家と写真のおかげで、まるで霧が晴れたみたいに世界は別物に見えた。


 もう、頭で考える時は終わった。


 狼呀とのことと一緒。


 大事なのは、心の声に耳を傾けることだったと気づいた。





 




< 313 / 356 >

この作品をシェア

pagetop