月の絆~最初で最後の運命のあなた~



「我が群れにようこそ。マリア……君を歓迎するよ」


 あたしが受け入れたのを感じとったのか、冬呀はそんなことを言った。


「あら。話はまるく収まったみたいね。お帰りなさい、マリア」


 入ってきたばかりの絢華さんも、まるで買い物から帰ってきたのを迎えるみたいに、優しく迎えてくれた。


 まるで、空白の時間なんてなかったみたいに――。


 嬉しいけれど、あたしはよけいに一つの願いを強烈に意識した。


「ここに帰ってくるまでに、やらなくちゃいけない事があるの」


 冬呀は何かを言おうとしたけど、室内に響く唸り声に注意を引かれた。


 唸ったのは、さっきまで大人しかったファング。


 鼻にシワを寄せ、牙を剥き出しにして外を睨み付けている。


「まさか、もうお出ましか? アヤは、マリアと一緒にいろ」


 そう指示する声は、今までと違って従わなければと思わせる強いものだった。


 訳のわからない力を感じていると、ファングが走り去り、後を追うように冬呀も外へと出ていった。







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