月の絆~最初で最後の運命のあなた~
[四]
狼呀は、襲いかかってくるオオカミを腕でなぎはらった。
そのたびに、甲高い鳴き声を上げられ嫌な気分になる。
「お前たちを傷つけたい訳じゃない。マリアを返せ。それだけだ」
しかし、オオカミの攻撃がやむ気配はない。
「分からせるしかないんじゃないか?」
瑞季も襲ってくるオオカミを放り投げながら、うんざりしたように呟いた。
「だめだ。お前は、下がってろ」
相手を殺す訳にはいかない。
もとはといえば、狼呀の仲間がした事で、オオカミシフターが犯人ではない。
「狼!」
考えていたせいで、一斉に襲ってきたオオカミに狼呀はうまく反応できなかった。
「くそっ!」
足首と太ももに噛みつかれて、それを振り払おうとすると、別のオオカミが手首に噛みついてきた。
「待ってろ、狼!」
狼呀の視界の端で、瑞季が体を震わせている。
「やめろ、瑞季。これは命令だ」
瑞季を睨み付けると、苦痛にたえるような顔をして、車のドアに怒りをぶつけた。