月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「お前たち、離してやれ」
冷静で、落ち着いた声が静かな森に響き渡った。
今まで怒り狂っていたオオカミたちは、耳を後ろに倒し、頭を下げながら道を開ける。
狼呀に噛みついていたオオカミたちも、例外ではない。
森の奥から出てきたのは、狼呀の本能が反発するくらいアルファらしい男だった。
「俺は冬呀だ。我々の縄張りで何をしている」
氷のような青い瞳と、狼呀と同じ琥珀色の瞳は、静かな怒りを募らせている。
「狼呀だ。マリアを迎えに来た」
「帰れ。マリアは、俺たちの群れの一員だ。お前みたいな人狼には渡さない」
その言葉に反応するように、オオカミたちは狼呀の周りをゆっくり歩くのと、冬呀の横に並ぶのとで別れていく。
「冬呀……お前の意見はどうでもいい。マリアの意思を知りたい」
「マリアは、ここで本来の人生を受け入れる準備に入る。それが、彼女には今一番大事なことだ」
「勝手に決めるなよ」
狼呀は、唸るように言った。
それに周りも反応して、鋭い牙を鳴らして威嚇してくる。