月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「あの……何でもない」
本当は、なんでもないなんて事はない。
大きなTシャツの下は、パンツしかなかった。
あたしは、寝る時はズボンを穿く派だ。
そもそも、このTシャツだって自分のではないし。
おまけに胸の締め付けまでない。
もちろん、寝る時はつけない派だけど、この状況ではおかしい。
いったい、ブラはどこに消えたの?
たた、一つだけほっとしたのが、左腕の包帯が取られていなかった事くらい。
電話を無視して自分の世界に入っていると、明らかに暴言と察する事が出来る外国の言葉が、受話器の向こうから聞こえてきた。
だから、あたしは電話に意識を戻した。
「何でもないって、家に帰ってないじゃないか!」
「なに、あたしの家の前にいるの?」
「ああ、昨日はあんな事になってしまったから、大丈夫か心配だったんだ」
昨日の事を思えば恥ずかしいんだろうけど、今のほうが恥ずかしすぎて、それどころではない。