月の絆~最初で最後の運命のあなた~



 驚いて顔を向けたマリアとは、唇が触れ合いそうなほど近かった。


 彼女の匂いと柔らかそうな唇に、狼呀はくらくらしてくる。このまま何もかも奪ってしまいたい衝動に襲われた。


「もう一度……キスをしたら、思い出すかも」


 少し角度を変えて、動くだけで願いは叶う。マリアはまるで、金縛りにでもあったように動けないでいるのだから、キスは簡単に手に入る。


 狼呀は、二人の間にあるはずの絆を確かめる為に動いた。


 そうすれば、マリアも分かるはずだ。


 ゆっくりと、目を見つめたまま近づき――。





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