月の絆~最初で最後の運命のあなた~


 鍵をかけ忘れた扉が、開けられる音がした。


「狼、客が来てるぜ!」


 入って来たのは、またしても瑞季だ。一番大事な局面に邪魔され、今度こそ爆発しそうだった。


「今は取り込み中だ! 待たせておけ」


 今この手を放したら、マリアは間違いなく家に帰るだろう。


 そして、二度と狼呀に会おうなんて思わないし、一緒に過ごした数少ない時間を忘れようとする。


 狼呀は、このまま終わらせる気はなかった。


「悪いが、彼女は返してもらうよ」


 鼻を突く冷たい鉄の匂いが漂ってきて、狼呀は怒りに燃えた。






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