月の絆~最初で最後の運命のあなた~



(マリア、待て。こっちを向いてくれ)


 声に出さず心で伝えようとすると、一瞬だったがマリアの肩が揺れた。


 しかし、振り返りはしない。


 歯痒いが、絆が本物であるのが少し証明されたと狼呀は思った。一緒にいる時間が長くなれば、彼女も理解するだろう。


 なのに、引き止めるべく狼呀が動くと、目の前にレイラが立ち塞がった。


「どけ、レイラ!」


「いやよ。あなた、何を考えてるか分かってるの?」


「伴侶の問題に、お前が口出しするな」


「わたしだって、あなたの相手がただの人間なら口出ししない。でも、あれは売血嬢なのよ!」


〈売血嬢〉


 その言葉に、一気に怒りが沸き上がるのを感じた。


 売血嬢とは、人狼たちが吸血鬼に進んで血を与える女たちを軽蔑して呼ぶときの言葉だ。


 昔の狼呀なら気にしなかっただろう。


 だが、今は違う。


 マリアの事を、そんな風に呼ばれるのには堪えられない。


 狼呀は本気の怒りを露にした






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