月の絆~最初で最後の運命のあなた~
顔を横に向けると、狼呀のTシャツが目に入る。
鞄を掴んで逃げるように部屋を出た時、一緒に持ってきてしまったらしい。
あれから三日が経つけど、なんとなく肌から匂いが消えていない気がする。
この部屋に入ってから、シャワーを毎日浴びてさっぱりとしているずなのにだ。
高そうな濃厚な薔薇の香りじゃ、落ちないっていうの?
なんだか気に入らない。
狼呀はたった数日前の出来事を忘れさせてくれない。
なぜか不思議な事にパニックにはなったけど、温かい腕と情熱的な瞳は安らぎを与えてくれた。
出会って間もない相手に、安らぎを見出したことなんてこれまで無かった。
「このTシャツ……どうしよう」
ぽつりと呟いてみたけど、あたしは狼呀のマンションの位置を知らないから返す方法がない。
それに、もう一度会いたいかとよくよく考えてみても、会いたいのかよくわからなかった。