いとしいこどもたちに祝福を【後編】
「――陸、少し落ち着いたらどうだい?」
京は、いつになくそわそわしている弟の様子を見兼ねて苦笑した。
廊下で鉢合わせた瞬間、晴海を泣かせてしまったと矢継ぎ早に話す陸は史上稀に見る程の狼狽えぶりだった。
取り敢えず宥めようと自室に招き入れたものの、辺りをおろおろと歩き回るばかりでまるで落ち着きそうにない。
京の良く知る弟は、自分や悠梨の影響か小さい頃から少し早熟なところがある。
そのためか頭の中で物事を先読みしてから行動に移るのだが、対処し切れない想定外の事態に陥ると時折こうなってしまう。
そういう弟の姿が兄としては見ていて微笑ましくもあるのだが、陸の話の通りなら今回は余り面白がってもいられない。
「全く…何をやらかしたかは訊かないけど、陸はまだまだお子様だな」
言いながら少し強引に両肩を取り押さえて椅子に座らせると、陸はかくんと項垂れた。
「うっ…」
「急にお前が血相を変えて話を振ってきたと思ったら、話の途中で飛び出して行くから何かと思ったよ」
そもそも陸は先刻、今日対応する来賓たちの相手を粗方終えるや否や、妙に切迫した面持ちで昨日病院で何かあったのか、と詰め寄ってきたのだ。
晴海が陸に香也のことを話していなかったのは、確かに少し意外だったが。
それ以上に、香也の名を聞いた瞬間に陸が顔色を変えたことに驚いた。
「大方、例の魔導士くんに嫉妬したんだろ。お前は昔からすぐ焼きもち妬くからな」
図星を突かれた陸は、後ろめたそうにそろりと頷いた。
「…それから、明日の予定のことで苛立ってる?」
すると今度は、先程よりもゆっくりと大きく頷いた。
京は、いつになくそわそわしている弟の様子を見兼ねて苦笑した。
廊下で鉢合わせた瞬間、晴海を泣かせてしまったと矢継ぎ早に話す陸は史上稀に見る程の狼狽えぶりだった。
取り敢えず宥めようと自室に招き入れたものの、辺りをおろおろと歩き回るばかりでまるで落ち着きそうにない。
京の良く知る弟は、自分や悠梨の影響か小さい頃から少し早熟なところがある。
そのためか頭の中で物事を先読みしてから行動に移るのだが、対処し切れない想定外の事態に陥ると時折こうなってしまう。
そういう弟の姿が兄としては見ていて微笑ましくもあるのだが、陸の話の通りなら今回は余り面白がってもいられない。
「全く…何をやらかしたかは訊かないけど、陸はまだまだお子様だな」
言いながら少し強引に両肩を取り押さえて椅子に座らせると、陸はかくんと項垂れた。
「うっ…」
「急にお前が血相を変えて話を振ってきたと思ったら、話の途中で飛び出して行くから何かと思ったよ」
そもそも陸は先刻、今日対応する来賓たちの相手を粗方終えるや否や、妙に切迫した面持ちで昨日病院で何かあったのか、と詰め寄ってきたのだ。
晴海が陸に香也のことを話していなかったのは、確かに少し意外だったが。
それ以上に、香也の名を聞いた瞬間に陸が顔色を変えたことに驚いた。
「大方、例の魔導士くんに嫉妬したんだろ。お前は昔からすぐ焼きもち妬くからな」
図星を突かれた陸は、後ろめたそうにそろりと頷いた。
「…それから、明日の予定のことで苛立ってる?」
すると今度は、先程よりもゆっくりと大きく頷いた。