いとしいこどもたちに祝福を【後編】
――父の仕事部屋に入ると、周は渋い表情で頭を抱えていた。

「ああ…陸、来たか」

机の一角に置かれた灰皿には、無数の吸殻が押し込まれている。

新しく就任した秘書官から聞いた話によれば、父は最近特に多忙なせいか年々減っていた喫煙回数がまた増えてしまったらしい。

「…冬壌の領主に連絡を入れたら、向こうから早々に返事が来たぞ」

「何て?」

「真実を探求する手助けが必要なら、獅道は喜んで協力する、だそうだ」

「!」

正直こんなにすんなり“協力する”なんて返事を貰えるとは――

「ただし一つだけ条件があるそうでな」

「…条件?」

思わず首を傾げると、周は苦々しげに口を開いた。

「お前一人で、獅道の邸まで赴くことだ。お前以外の人間の同行や協力を得た場合は面会を受けない、そして二度目の機会はない。だそうだ」

「…俺、一人で?」

そんな条件を飲む訳がないと侮られているのか、それともこちらの度胸を試そうというのか。

或いは――両方か。

成程、父や兄の表情が先程から芳しくないのはこのせいだ。

「こんな条件受け入れられるか!要は向こうも、最初からこっちに教える気なんかないってことだ。陸、これで解っただろっ…」
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