いとしいこどもたちに祝福を【後編】
「香也は儂の末弟の子――所謂(いわゆる)分家の出だ。我が一族にとって守護者の使命は大役でな…その役目を授かったことで、彼奴は一族の人間から妬みを買ったのだ」
「…!」
「香桜(かよう)…弟が香也の誕生を待たずして病没した影響もあるがな。一族で立場の弱い香也は、何をするにも酷く苦労しておったよ。端(はた)から見れば彼奴が国を捨てたくなるのも頷けるであろう程に」
「……!」
つくづく霊奈とは正反対の家風と、想像もつかないような一族内での対立に目眩が起きそうだ。
そんな苦労を強いられていたなんて、自分の知る香也の姿からは結び付かなかった。
「見兼ねて周囲を諌めても、儂の目の届かぬところで香也は陰惨な仕打ちを受け続けておった。儂は彼奴がこの国を去るまで其れに気付けず、一族の長としても伯父としても彼奴に何もしてやれなんだ」
今まで威厳を保っていた香住の表情が、俄に弱々しく歪んだ。
だが心配げに自身を見つめる陸の眼差しに気が付くと、弱気を振り切るように自嘲の笑みを浮かべて小さく呟いた。
「…ふ、ふ。あろうことか霊奈の倅にこんな話をするとはな。儂も年老いたものだ」
・ ・ ・
「…!」
「香桜(かよう)…弟が香也の誕生を待たずして病没した影響もあるがな。一族で立場の弱い香也は、何をするにも酷く苦労しておったよ。端(はた)から見れば彼奴が国を捨てたくなるのも頷けるであろう程に」
「……!」
つくづく霊奈とは正反対の家風と、想像もつかないような一族内での対立に目眩が起きそうだ。
そんな苦労を強いられていたなんて、自分の知る香也の姿からは結び付かなかった。
「見兼ねて周囲を諌めても、儂の目の届かぬところで香也は陰惨な仕打ちを受け続けておった。儂は彼奴がこの国を去るまで其れに気付けず、一族の長としても伯父としても彼奴に何もしてやれなんだ」
今まで威厳を保っていた香住の表情が、俄に弱々しく歪んだ。
だが心配げに自身を見つめる陸の眼差しに気が付くと、弱気を振り切るように自嘲の笑みを浮かべて小さく呟いた。
「…ふ、ふ。あろうことか霊奈の倅にこんな話をするとはな。儂も年老いたものだ」
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