いとしいこどもたちに祝福を【後編】
「…結果的に起きたことを後から悔やんだって仕方ないさ。詳しい話は知らないけど、陸はそのとき自分に出来ることをしたんだろ?」

「……仄さん」

仄の言葉は、相変わらず力強く心を勇気付けてくれる。

炎夏で一緒に過ごせた時間は短かったが、陸の中で仄の存在は充と同様、非常に大きな割合いを占めている。

「そうそう。炎夏の新しい領主様なんだけどさ、どうなったと思う?」

そういえば――今回の来賓の中に領主を始めとした炎夏の要人たちが殆どいなかったのは、ちょうど領主交代の件で建て込んでいたためだと聞いている。

しかしその後、話がどのように進展したのかは全く聞いていなかった。

「新しい領主様ね、日野さんなんだよ」

「ええっ?!」

「はは、やっぱり驚いた。まあ、経緯については結構色々あったんだ…今回あたしらについて来たがってたけど、流石にまだ引き継ぎやら何やらで無理だったから陸によろしくって言ってた」

「陸、日野さんってみんなを春雷まで送ってくれたって話してた人かい?」

「うん…面白い人なんだ、凄く」

日野が、新しい領主――あの国を愛している彼ならきっと、炎夏をより良い国にしてくれそうだ。

「陸の親父さんには今度改めて挨拶に行くって張り切ってたよ」

(父さんと日野さんが対面したら…、………凄く賑やかそうだなあ…)

「さて、あたしも陸のご両親に逢って挨拶したいんだけど…逢わせて貰えるかな?」

「勿論…!行こう、仄さん」


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