いとしいこどもたちに祝福を【後編】
「炎夏では陸がお世話になりました。息子とまた逢えたのは、貴方がたご家族のお陰です。本当に…何度お礼を言っても足りないくらい」

愛梨の両手が、仄の掌を包むように添えられた。

女性にしては長身の仄と、小柄な愛梨が並ぶと、同じ母とはいえ対照的だと思った。

「そんな、お互い様です。うちの双子を何不自由なく置いてくれて、申し訳ないくらい。何なら雑用くらいやらせて構わなかったのに」

「…そうですよ、愛梨さん。うちの母は腕を怪我した陸に容赦なく家事手伝いさせてたらしいですから」

「陸は腕が早く使えるようになるために、お手伝いさせて貰ってたんですから。いいんですよ」

ふと、晴海がくるんと振り返って不安げに風弓の顔を見上げた。

「ふゆちゃん、りっくんまだかえってこないの?」

「え?いや、ちょうど母さんを迎えに行くとき帰ってきたよ。今は周さんと京さんと大事な話をしてる」

「だいじな、おはなし…?」

すると晴海は少し不満そうに俯いて、仄の腕に抱き着いた。

「はる、陸が逢いに来てくれないからって拗ねてんの?」

母にからかわれると、晴海はふいとそっぽを向いて頬を膨らませた。

「…ちがうもん」

「ごめんなさいね、晴海ちゃん。陸ったら、真っ先に晴海ちゃんのところに顔を見せればいいのに」

愛梨の言葉に、晴海は懸命に首を振った。

「だって…だいじなおはなししてるんでしょ?」

と言いつつも、なかなかご機嫌は直りそうにない。
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