いとしいこどもたちに祝福を【後編】
「話が終わったら、すぐ周さんと一緒に此処に来るって言ってたよ。だから待ってようぜ?」

「かあさんとふゆちゃんは、もうりっくんとあったの?いいな…」

ああやばい、余計機嫌を損ねてしまった。

「じゃあ、晴海ちゃん。わたしと一緒に陸のこと呼びに行きましょ?」

「!あいりさん」

「…はる。大勢で押し掛けるのもなんだし、あたしはふゆと此処で待ってるから行っておいで?」

「うんっ!」

眼を輝やかせてこくんと頷いた晴海の様子に微笑みながら、愛梨は晴海と手を繋ぐ。

「それじゃあ仄さん、風弓くん。ちょっと晴海ちゃんをお借りしますね」

「いや、うちの我儘娘がすみません。よろしく」

「はい」

そうして二人が部屋を後にすると、仄は苦笑を交えながら髪を掻き上げた。

「――驚いたな。両親を恋しがって泣いてるなんて聞いてたから、ふゆ以外の人間は完全に寄せ付けないのかと思ってたよ」

「…最初はそうだったんだ。けど愛梨さんのお陰で少し改善した」

「成程ね。ま、あとはあれだな」

「?」

「はるは本当に、陸のことが好きなんだよ。そりゃもう、あたしの存在が霞むくらいにさ…」


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