いとしいこどもたちに祝福を【後編】
「――成程な。晴海ちゃんの力とお前たちの特異な能力には、そういった因果関係があったのか…」

香住から教わったことを説明し終えると、一息つくように周はそう呟いた。

「晴海ちゃんを守るための力か、何か運命的なもの感じるね?」

「うっ…うん」

茶化すような兄の言葉が妙に照れ臭くて、陸は赤くなった顔を隠すように俯いた。

「だが晴海ちゃんがあの状態じゃ、自分の能力を上手く使いこなすどころの話じゃないな。持病が再発する心配もある訳だし」

「そのこと、なんだけど…」

今の晴海の状況について、何か分かることがないか香住に訊ねたところ、こんな回答が返ってきたのだ。

『あの娘の能力はまだ不完全だ。それ故に、現状のように己の精神(こころ)の形を自ら歪めてしもうた』

『なら、どうすれば…?』

『それは娘が心を傾けている、そなた自身が一番良く解っておろう?守護者ならばこのような状況くらい自力で打開して見せよ』

「…って」

「凄えな、向こうさんは…何でもお見通しなのかよ…しかし、お前個人に対して結構好意的だな」

「そうかなあ?本人は俺が守護者だから、って言ってたけど」

「まあ、獅道様が話の分かる方で良かったじゃないか。要するに、陸が晴海ちゃんと仲直りすればいいってことだろ?」

「仲直り?お前たち、喧嘩でもしてるのか」

「!いやっ…何でもないんだ」

何となく恥ずかしくて、父には自分が晴海にしたことの顛末を話せていなかった。
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