いとしいこどもたちに祝福を【後編】
「こここここ…こん、こんやくっ…?!」

案の定、婚約の話を伝えた瞬間に風弓はこの通りの有り様となってしまった。

「なーにもそんなに驚くこたないだろ、いつかは通る道だって解ってたことじゃないか。いい加減に姉離れしな、ふゆ」

わなわなと震える風弓の顔面に、仄は容赦なく手刀を入れる。

「いってぇぇっ!」

「母さん、弟離れ出来てないのは私のほうだよ?ふゆちゃんは悪くないの」

「姉ちゃん…」

「ふゆ。あんたの大好きなはるが幸せになるんだよ、ちゃんと喜んでやらなきゃ可哀想だろうが」

「ね…姉ちゃんの幸せっ……」

母の言葉に、風弓は思い詰めた表情で部屋の片隅に蹲ってしまった。

「ったく。あいつ、今からこんな調子じゃはるの結婚が決まった日には発狂すんじゃないか?」

「あはは…」

結婚――は、流石にまだまだ先の話だとは思うが。

「…母さんは、喜んでくれる?」

「勿論だよ!まあ…あたしは炎夏からあんたたちを逃がすときに、もうはるを陸の嫁にやったような気分でいたからねえ」

「…あのときに?」

確かにあのときは、晴海自身も一生、というのは大袈裟にしても暫くは仄と逢えなくなるだろうと覚悟していた。

母も自分と同じ――いや、それ以上の覚悟を決めていたのか。
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