いとしいこどもたちに祝福を【後編】
晴海は風弓の元へ走り寄ると、弟を如月の視線から庇うように立ちはだかった。

「っ父は貴女みたいに他者の気持ちを利用して誰かを傷付けるなんてこと、黙って見過ごせるような人じゃなかった!間違ってるのは貴女たちのほうだ!!」

「何も解らぬ小娘が、偉そうに…!」

「――おやおや、騒がしいと思ったらこんな場所に集まっていたのか」

不意に背後から見知らぬ男の声が響いて、どきりとする。

「誰っ…?!」

咄嗟に後方を振り向くと、薄暗い鳶色の髪をした上背の男の、真っ黒な闇色をした右眼と目が合った。

左眼は長い前髪に隠れて見えないが――その眼に射抜かれた瞬間、恐怖で身が竦んだ。

「架々見っ…!!」

陸と風弓がほぼ同時に、敵意を込めてその男の名を口にする。

「相変わらず生意気そうな顔付きだな、才臥の息子は。それにあの霊奈の跡取りまで一緒か、父親似の癪に障る面構えだな。そして…見掛けない小娘だが、何処かで見た顔だ」

「架々見様…!その小娘は才臥の息子の片割れです」

如月の言葉に、架々見は興味深げに眼を細めるとくつくつと愉しげに喉を鳴らした。

「成程な。お前が例の、陸が入れ込んでいるという小娘か」

「貴方はっ……この国の…」

「こいつは薄暮の国の領主…如月に月虹を作らせた、張本人だよっ!」

この男が――父と風弓を、母と自分の元から引き離させた。

陸や慶夜を、家族の元から連れ去った。
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