いとしいこどもたちに祝福を【後編】
「――父さん」

京が声を掛けると、窓際をそわそわと落ち着きなく彷徨(うろつ)いていた周はぴたりと足を止めた。

「…京、陸」

周は安堵の表情を浮かべながら、手にしていた煙草を灰皿に押し付ける。

そして晴海の横に立つ悠梨に支えられた風弓を見ると、少し驚いたように眼を見開いた。

「…晴海ちゃん。その子は、君の…」

「は、はい。弟の風弓です」

「そう…だよな。いや、才臥さんによく似ていて驚いたよ」

元々風弓は父似だったが、今の風弓は殊更父と背格好が似てきた――そう感じるのは自分だけではないらしく少し嬉しい。

父と面識のある陸も賛同するように頷いたが、風弓自身は良く解らないようで首を捻った。

「おい、親馬鹿。俺は無視か」

「ああ、いたのか兄馬鹿。相変わらず神出鬼没だな」

「可愛い甥っ子たちのためなら、俺は何処にでも行くぞ」

「俺の大事な息子たちのために、そりゃどうも」

本人を目の前にしても全く態度が変化しない悠梨と周の遣り取りに驚いていると、京が呆れたようにこそりと囁いた。

「ごめんね、大人げないおじさんたちで。これが二人の普段の挨拶みたいなものだから、あんまり気にしないで」

「は、はあ…」

「まあ、俺はこいつが領主を継ぐ前からの付き合いだからな。妹を嫁にやった覚えはないが、一応は友人ってやつだ」
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