いとしいこどもたちに祝福を【後編】
少し恨めしげな視線を向けると、周は困ったように苦笑いを浮かべた。

するとそれを制止するかのように腕を掴まれ振り向くと、風弓が漸く顔を上げた。

「……親父は、姉ちゃんのことを能力者だと誤解してる如月から、姉ちゃんを遠ざけたかったんだ。もし姉ちゃんが月虹に連れて行かれたら、ありもしない能力を探るために病気を悪化させられちまうと思ってな」

「…確かに、生きてるって判ってたら私も夕夏や京さんみたいに、二人を捜そうとしたと思う。父さんが私を守ろうとしてくれたんだってことも解る。でも…っ」

「結果的に悲しませることになっても、存在を忘れられたとしても。俺と親父は……姉ちゃんに生きてて欲しかったんだ」

苦々しげに当時の心情を吐露する風弓に、晴海は懸命に首を振って見せた。

「それでも、私はっ…!!」

「はる」

不意に陸の手が伸びてきたかと思うと、その掌に優しく頭を撫でられた。

そのまま、以前してくれたように両手で頬や髪に触れる。

「充さんはいつも晴のことを心配していたよ。本当のことを言えずに傍を離れてしまったこと、いつだってとても気にしてた」

「陸…」

解っている、風弓や父だって好んでそんなことをした訳ではない。

もし事実を告げられていたら納得していたかと問われれば、きっと納得出来なかっただろう。

「だけど晴も、充さんや風弓が晴を心配するのと同じくらい二人が大切なんだよな」

宥めるように優しく問われ、ゆっくり頷くと陸は嬉しそうに微笑んだ。

「もしまだ可能性が残されてるんなら――俺が必ず、充さんを取り戻して晴の元まで連れて来るよ」

「…!けど、そのために陸はまた月虹に行くの…?」
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