まんなかロックオン
「…ふは。麻佑、顔真っ赤だよ」
…こちらが見れば、相手もこちらの顔を見ることになる。
さっきそのことに気づいたばかりなのに、馬鹿な私はコウと目を合わせてしまった。
「…う、うるさいっ…」
見えたコウの顔は笑顔で、ものすごく嬉しそうで。
昨日の言葉が本当なんだって、わかってしまった。
「…もう、ほんと、馬鹿…」
吐く息は相変わらず白いのに、頬は熱い。手を当てて冷まそうとするが、手まで熱くて困った。もはや手袋なんて、いらないじゃないか。
「今日の麻佑、なんかいつもよりツンツンしてるよね。可愛い」
「はっ…!?あ、あんたがあんなこと言うからでしょ…!?」
調子のんな!
そう言って、ずんずんとコウより先に歩く。
すると、後ろから明るい笑い声が聞こえて、もう手袋はいいから耳を覆うものが欲しいと思った。