三十路で初恋、仕切り直します。
『……法資……』
時間のある休日の所為なのか、それともほかに何か意味があるのか、パソコンのモニターに映る泰菜の、いつもはあまり化粧ッ気がない唇が今日はおいしそうなピンク色につやめいていた。
髪の毛はふんわり纏められて、そこにはいかにも女子っぽいきらきらした髪留めが付けられ、襟ぐりの開いた白くてふわふわしたニットからはきれいな鎖骨が覗いていた。
珍しく女らしい、まるでデートに誘われたときのような恰好だ。実際そんな気持ちでウェブカメラの前に座っているのかもしれない。
思わず口元が緩みそうになる。
普段おしゃれなどしない泰菜にとってはめいいっぱい気を遣った恰好なのだろう。……素直にかわいい、と思う。自分の目を意識した上での姿なら、なおのこと。
その愛おしい相手は、何かを言いかけたように口を半開きにしたまま、正面を見て固まっていた。
「泰菜?」
こちらから呼びかけると、我に返ったようにぱっと顔を背けて、泰菜は『もうっ』と声を荒げた。
『……法資、なんなのよ、その恰好……っ』