世界一幸せな国Ⅰ


ベ「さて、そんなお顔をなさっていてはお身体にもよくありません。車椅子を用意いたしましたので、どこへ移動していただいても構いませんよ」


そう言ってベルモンドはベッドの横に車椅子を置いた。


ベ「食事についてはこれから少しずつ、食べられるようにしていきましょう。あと、早速ですが、明日から検査がございます。おそらく事情聴取も。しばらくはゆっくりすることはできないと思いますので、もし何か変化があったときは、私どもの方に連絡ください」


彼は、紙に書いてあることを読み上げ、ローナと母様に渡した。


ローナの手元の紙を覗いてみると、リハビリの日程表なんかもあった。


ローナは面倒くさいようで、嫌そうな顔をしていたが、ぜひ頑張って貰いたい。



また、前のように遊べるのも近いだろう。


俺は、誕生日パーティーの準備をする計画を、日程表を見ながら立てた。





それにしても、事情聴取か。


俺たちは検査入院だけだったため、すぐに受けた。



とは言っても、寝ていただけなのでなにも覚えていないのだが。


お父様とお母様も、犯人との関わりについて聞かれていた。



この事情聴取でいちばん辛い思いをするのは、2人だろう。


一部始終を知っているのは2人だけなのだから。

< 142 / 256 >

この作品をシェア

pagetop