君想歌
手に持った三味線を高杉に
押し付けると畳に寝転がる。


「……和泉が気になる?」

ぽつりと呟かれた言葉に
高杉は返答に詰まってる。


「幕府を恨んでたお前が
そこまで思い入れる女だ。
気にならねぇはずねぇだろ……」


「似てるんだよね。
俺と和泉は」


和泉の場合。

すべてを奪ってしまった
原因は長州にある。


一方、俺の場合。
原因は幕府にある。


正反対だけれども、
根本的なものが同じ。


和泉の人柄に俺が惹かれたのも。

それは後付けの理由。


< 103 / 633 >

この作品をシェア

pagetop