君想歌
和泉に至っては不機嫌ですし。

「総司のせいで報告書が
溜まってるんだけど?」


皮肉めいた言い方をする和泉は
じとりと沖田を見上げる。


「半分!!半分しますから」


「やるなら俺の隣で書け。
お前一人にやらせると俺の
仕事が増える」


余程遊びたいのか一つ返事で
大きく頷く。

これが沖田にとって後に
災難となったというのは
言うまでもない。


トントンッと肩を片手で叩いて
いた和泉は、畳に置かれた
説明書を広げる。


……成る程、そういうこと。

一つ仕掛けるのも一興か。


声を出さないように笑った
和泉は二人が見ていない隙に
説明書の下半分を切り取った。

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