君想歌
濡れた唇が吉田の色っぽさを
際立たせている。


だがそれよりも。

こんな事を言えば自惚れかも
知れないけど。

確かだと言い切れる。


吉田の和泉を見つめる瞳には
愛しさが滲んでいた。


「……ん?どうしたの」

目線を絡み合わせたまま
動かなくなった和泉の頬に
手を伸ばした。


「ふぎゅっ」


きゅっと頬を吉田に挟まれ
思考から引き戻された。


突然、吉田の首に手を回して
抱きついた和泉に身体が
後ろに傾く。

和泉の身体に腕を回し何とか
後ろに倒れるのを防ぐ。


「ど、どうしたの?」


吉田の焦った声が聞こえるが
先に膨れ上がった感情は
抑えが効かずに溢れだす。

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