君想歌
挙動不審になる和泉に容赦なく
吉田の追い討ちが掛かる。


「それとも、俺が嫌いだから
出来ない?」


背に回された腕は和泉が
逃げることを許さない。

そして嫌い?と問われれば
首を振る行動まで。

計算済みなのが若干悔しい。


近頃反応を見られ笑われるのが
多い気がするのは確実に
気のせいじゃあない。


「意地悪だ……」


「うん♪和泉、好きだもん」


さらりと色気全開で殺し文句を言うのは止めていただきたい。

先導されるように吉田は和泉を
優しく引き寄せる。


何だかんだ言いながらも吉田は
やり易い状況を作ってくれる。


和泉が吉田の唇に重ねれば
自分から離せないように
頭を押さえられる。


ふと目を開ければ同じくして
吉田も目を開く。


「……反則だよ?
目、閉じなきゃ」

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