君想歌
部屋の襖を開けた和泉に土方は
苦笑した。


「またか……」

「もう嫌」

土方に薬を押し付け再度
溜め息をついた。


出来る手段は全て終えた。


行き着く先は土方しか
思い当たらない。


頭が居ない市中巡察に稽古指南。


やるべき事が多く連日
走り回っていた。


「分かった。仕事頼むぞ」


すんなりと了承してくれた
土方に感謝し和泉は門前へと
足を早めた。


一方部屋に残った土方は
薬を持つと沖田の部屋へ。


返事も聞かずに襖を開ければ
文句を言われる。


「着替えてたらどうするんですか」

「知るか」

部屋に声を掛けた試しの無い
沖田にそのまま言葉を返した。


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