君想歌
『私は男と比べたらチビだ!!
胸はサラシを巻いてるから
小さく見えるんだ!!
人並み以上の大きさは
あるわぁぁぁあっ!!』


突如屯所中を揺らし恐らく
隅から隅まで届いたであろう
和泉の叫び声。


局長である近藤勇は朝餉の
味噌汁を持ったまま固まり。


副長の立場である土方は
好物の沢庵を喉に詰まらせ。

近藤の隣に座する山南敬助は
盛大に吹き出し。

沖田は真っ赤に顔を染め。

斎藤は膳をひっくり返し
激しく咳き込む。

たちまち朝餉の場は大惨事へと
変化したのだった。



そんなことも騒ぎを作り出した
本人らは知らず。


ボッコボッコにされ更には
蹴り出された原田、永倉は
半泣きになる。


そして外れた襖をはめ直す。

二人は二度と和泉の睡眠を
妨害しまいと心に誓った。


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