ノーチェ


だけど、ちゃんと話したい。



言い訳とかじゃなく、あたしの心の中にある想いを

ちゃんと、あたしの言葉で伝えたい。





だって、薫はあたしに伝えてくれた。


『――…好きだ。』




…じゃあ、あたしは?

あたしは、薫に何て言えばいい?




『ごめんね』じゃ伝わらない。

『赦して欲しい』なんて言わない。




……なら、何て薫に?





ぎゅっと紙切れを握り締める。

そしてゆっくりと立ち上がったあたしは
タンスから服を取り出して着替え始めた。




…伝わらなくてもいい。

どんなに無様でも構わない。



例え、薫が赦してくれないとしても

あたしは。



今、あなたに伝えたい言葉がある。


伝えなきゃ、いけないんだ。







――誰よりもあなたが、大切なんだと。




< 275 / 306 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop