Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 そして、こんなふうに思う自分も、模試の点数には一喜一憂してしまうわけで……。みのりは複雑な思いを抱えながら、ステージの発表を見つめた。

 そうしている内に、私立文系クラスの生徒たちの一部が騒ぎ始めた。さすがにこれはマズイ…とみのりも思っていると、特別活動主任が生徒の列の中に入っていき、騒ぎの原因になっている生徒をつまみ出した。


 午後からは、やっとクラス展示や文化部の展示などを見て回れる自由時間になる。

 みのりは澄子や他の女性教師と一緒に、一通り見て回ってみたが、取り立てて『すごい!』と思える展示はなく、みんな1年5組の「暗闇迷路」レベルのものだった。

 体育館ではバンドの演奏が行われている。このバンドのステージも出演希望が多すぎて、何でもオーディションをしたとか…。何人か教えている子が頑張っていたので、なん組かの演奏を聴いた。
 

 実業系の高校に比べ、中身は今一つ盛り上がりに欠けるが、普段とは違う学校の楽しげな雰囲気が、みのりは好きだった。

 文化祭実行委員たちが一生懸命作り上げた、校舎の壁一面に飾られた、ピカソのゲルニカを模した壁画の前で、生徒たちに呼び止められ、一緒に写真に入った。


 1年5組の「暗闇迷路」が盛況かどうか、気にはなっていたが……、みのりは心に決めた通りに近づこうとはしなかった。



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