Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「いや、みんなに訊いたけど、先生は来てないって言ってたよ。先生も一緒に作ってくれたんだから、入ってみてくれなきゃ。」
「もう終わっちゃうから、早く!」
女の子たちは、みのりの両腕を確保して、強引に教室へと向かった。
1年5組の教室では、みのりの到着に盛り上がった。皆、クラス展示を見て回るのにも飽きて、自分のクラスへ集まってきている。
男子生徒の一人が、
「仲松先生が来たぞー!」
と、迷路の中に向かって声をかけた。きっと、中で驚かす役の生徒に、準備を促すためだろう。
中の暗闇で待ち受けている〝ドッキリ〟に、みのりはおののいていた。顔はこわばって、体も硬直する。
「わ、私。……ダメなのよ。こんな、お化け屋敷みたいなの、苦手なの……。」
握り拳を口元に当てて、みのりは生徒に暗に許してくれるように懇願した。
「先生―、お化け屋敷じゃないってば!暗いけど迷路だから、大丈夫よ!」
みのりを連れてきた女の子たちは、ニッコリして入口へと誘う。
「……ご、ごめん。やっぱり、一人じゃ無理よ……。」