Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 満ち足りた気分になって、ベッドに横になろうとした時、携帯メールの着信音が鳴った。


 携帯電話を見てみると、遼太郎からのメールだ。個別指導のことだろうか……と、開いてみる。


『夜分にすみません。今日、1年5組の迷路の中で、先生を捕まえたのは、俺です。
先生を驚かせようと、先生だと分かっててしました。驚かせるどころか、怖がらせてしまって、すみませんでした。
だけど、あれはわざとじゃありません。わざとじゃないけど、本当にすみません。反省してます…』


 みのりは、これは本当に遼太郎からのメールかと、自分の目を疑った。


 そして、震える手で確認して、遼太郎からのメールに違いないことが判ると、携帯電話を放り投げて、ベッドに突っ伏した。


――狩野くんに、……胸、触られた……!!


 怒りの感情などは全く湧かず、ただただ恥ずかしさだけがみのりを支配した。

 自分では制御できない動揺が通りすぎるまで、赤く火照る顔を枕に押し付けて、ただ待つしかなかった。

 心臓が口から出てきそうなほど、激しい鼓動を打っている。迷路の中での感覚が、何度もみのりの身体に甦ってくる。


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