Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
教室に入って来たみのりは、目の周りをほんのり赤く腫らしていた。取り立てて指摘するほどでもないが、いつもと違うということは判る。
それに気がついた遼太郎は、そっちの方が気になって、自分の悩みなどどこかへ行ってしまった。
――9月の初め、試合の応援に来てくれた時も、あんな目をしていた……。
一体何があったのだろう。そんなに頻繁にあんなになるまで泣くようなことがあったのだろうか……。
遼太郎は気になって仕方がなくなり、何も手につかなくなってしまった。
自分の悩みは忘れてしまえたけれど、結局期末考査に向けて、みのりがしてくれている熱のこもった授業は、一応ノートは録ったものの全く頭には入らなかった。
気になってはいたものの、授業が終わった時も、みのりには問いかけることはできず、結局悶々としたまま一日が過ぎていく。
終礼が終わり、担任の澄子が職員室へ戻る時に、居ても立ってもいられなくなり、遼太郎はその後を追いかけた。
澄子はみのりの親友ということは知っていたから、みのりの目の赤くなっている原因について、澄子なら何か知っているかもしれない…と、思ったからだ。
遼太郎が職員室に入ろうとした時、
「考査前は入室禁止よ。」
と、振り向いた澄子から声をかけられた。遼太郎は焦って、
「ああ、じゃあ先生。ちょっと訊きたいことが!」
と、呼び止めた。