Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 澄子は出入り口まで戻って来て、遼太郎の質問を無言で待った。遼太郎は少し躊躇して遠慮がちに、口を開いた。


「仲松先生は、どうして目を腫らしてるんですか?先生に何があったんですか?」


 てっきり勉強の質問とばかり思っていた澄子は、意外な問いに目を丸くする。

 みのりのプライベートなことなので、適当な言葉でごまかそうかとも思ったが、遼太郎があまりにも真剣な表情をしているので、気を変えた。


「ちょっと待ってなさい。」


と、職員室の中へ入っていき、しばらくしてみのりを連れて出て来た。


「そういう質問は、仲松先生に直接してちょうだい。」


 澄子はみのりに目配せして、職員室へ戻っていく。
 みのりの方は遼太郎に目を移して、


「何?質問?今日の授業のところ?」


と、考査前にはよくある状況を想像しているようだ。

 しかし、遼太郎は先ほどと同じ質問を、今度はみのり本人にぶつける。


「先生の目の周り、どうして赤いんですか?」


 みのりは面食らって固まり、それからその表情に戸惑いを過ぎらせた。


「……ど、…どうしてって、……その、映画を観て泣きすぎちゃって……。」


 自分でも、ベタな言い訳だと思いながら、みのりはしどろもどろと返答した。


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