Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「何の映画ですか?この前の試合の時も、映画を観て泣いたんですか?」
遼太郎は真剣な表情でさらに問いかけてくる。その真っ直ぐな視線に射抜かれて、
――やっぱり狩野くんは、ごまかせないか……。
と思いながら、みのりはため息を吐いた。
「……それじゃ、ここじゃ話せないから……。」
みのりは遼太郎の背中を押して、職員室前の雑踏を抜けた。
いつも質問を受けたり、話をしたりする渡り廊下の長机も通り過ぎた。みのりの後を、遼太郎は黙って付いて行き、誰もいない特別教室棟の空き教室に入った。
「どうして、私の目のことなんか訊きたいの?」
窓を開け、その側にある椅子に座りながら、みのりは逆に遼太郎へ質問した。
「どうしてって……。先生の心配しちゃいけませんか……?」
遼太郎は椅子へは座らず、みのりの斜め前の机に腰かけた。
遼太郎の一言に、トクン…と、みのりの胸がさざ波を打つ。その一言から、遼太郎の優しい人柄が垣間見える。
「いけなくはないけど……。私、生徒にまで心配かけちゃうなんて、教師失格かも……。他のみんなも気がついてた?」
みのりは表情を曇らせて、無意識に目の周りに指を這わせた。
泣き明かしたのは土曜日の夜だ。昨日1日間あったから、目の腫れも大分落ち着いていると、みのりは思っていた。