Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「いや……。気にしてるのは俺だけだと思います。」
「じゃ、何で、狩野くんは気にするのかな?私の目が腫れてようが、どうでもいいじゃないの。」
「どうでもよくなんか……!」
遼太郎は珍しく語気を荒げたが、すぐにそれに気がついて、
「……ありません。」
と、言い直した。
『何で?』と訊かれても、自分でも理由はよく解らない。でも、遼太郎はみのりが納得できる言い訳を探した。
「気になるのに、理由なんかありません。でも、一旦気になりだすと、他のことが手に付かなくなるんです。実際、今日の日本史の授業の内容も、ほとんど頭に入ってません。」
遼太郎は、正直に今の自分の状況をみのりに伝えた。それに、少しずるい気もしたが、こう言えばみのりが本当のことを話してくれると思った。
「勉強が手に付かなくなるのは、考査前だし困るわね……。」
みのりは深刻な顔をして、眉間に皺を寄せた。生徒のことを第一に考えるみのりは、自分のせいで、遼太郎の成績に影響が出てしまってはいけない…と思った。
頬杖をついて、目を閉じて少し考える。
本当のことを、生徒である遼太郎に打ち明けてもいいだろうか…と、迷いもあった。事が事なだけに、打ち明けるには勇気も必要だった。