Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「狩野くん…。そんな簡単なことじゃないのよ。その人には子どもがいるの。私のせいでその子が不幸になるのは、とても……。」
『堪えられない』と言うように、みのりは首を横に振った。
「それに、まがりなりにも教師だから……。だから、これ以上一緒にいてもお互いが不幸になるだけだから、別れることにしたの。……私の方から。」
「……それは、もう好きじゃなくなったってことですか?」
心の機微をあまり理解できていない遼太郎のシンプルな問いに、みのりは寂しく作り笑いをした。
「好きじゃなかったら、こんなに辛くはないわ。その人も私のことを好きでいてくれてるから、なおさら辛いのよ。」
みのりの目には涙が湧き出てきたが、歯を食いしばって、瞳に湛えた涙が零れ落ちないように、必死で堪えた。
遼太郎の前で泣いてはいけない――。
気丈に振る舞おうとしているみのりに、却って遼太郎は心を打たれた。みのりを執拗に問いただして、再び辛い思いを追認させてしまったような気がして、遼太郎は罪悪感さえ覚えた。
いつもみのりは、遼太郎に勇気と原動力と励ましをくれる。
そのみのりの何か力になれないか…、遼太郎は必死でそれを考えていた。