Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「先生…….。何か俺にできることがあったら……。」
みのり個人の恋の苦悩だし、今のちっぽけな自分にできることなどない……。そうは思ったけれど、遼太郎の口は勝手にみのりに語りかけていた。
みのりの泣き腫らした赤い目を見た瞬間から、ずっと遼太郎がみのりに言いたかったことは、この言葉だった。
遼太郎のこの言葉を聞いて、みのりは涙をためた瞳で、愛おしそうに遼太郎を見つめる。
遼太郎の心臓が、ドキンと一つ大きく脈打った。
「狩野くん……。力になってくれようとしてるのね。優しんだね。……ありがとう。」
みのりが首をかしげて微笑むと、心臓は大きく脈打ったまま鼓動を速めた。
激しい鼓動の中心に、何かを見つけられそうな感覚が襲う。
「……狩野くんができることは、……そうねえ、やっぱりいい男になることかな。」
「いい男……。」
遼太郎はつぶやきながら、自分の中に萌芽しかけている感情を確かめようともがいていた。
「そうよ、生徒が一人前になってくれるほど、嬉しいことはないもの。ましてや、男の子は『いい男』に成長してくれたら、ホントに嬉しい。」
――そうだ、いい男になって……!
「狩野くんがそうなるように頑張る姿を見せてくれてると、きっと今の辛い傷も癒えてゆくんじゃないかな。」
みのりは遼太郎を見つめながら、自分にも言い聞かせるように言った。