Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「狩野くん、今日から冬服だ。カッコいいね。」
今日は完璧なみのりから逆にこう言われて、遼太郎は面食らった。そして、一瞬後には顔に血が上った。
みのりに「カッコいい」と言われたのは、これが初めてではないだろうか?
「先生の方こそ…。」
遼太郎は辛うじて言葉を絞り出した。
「私もカッコいい?」
みのりがそう言って微笑んだので、遼太郎は反射的に首を振った。
「いえ、先生はそうじゃなくて……。」
「そうじゃなくて?」
「先生はすごく綺麗です。」
ずっと心に思っていたことを告白できたにも関わらず、遼太郎はその美しさに気が遠くなりそうだった。
「本当?峰不二子みたい?」
「………は?峰不二子?」
遼太郎は、みのりの突飛で不可解な言葉に、いきなり思考がその部分だけ鮮明になった。
「そう!ルパン三世の峰不二子。綺麗と言えば、彼女でしょう?」
「……はぁ……」
何故みのりがそう思うのかは、全くもって理解不能だったが、峰不二子の妖艶な姿が遼太郎の頭をよぎった。
みのりがあんな女性に変貌するとは、到底信じがたかったが、もしみのりがあんな官能的になったところを想像しただけでも、遼太郎はもう鼻血が出そうだった。