Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
遼太郎が絶句しているので、みのりは持論を展開し始める。
「彼女は必要に応じていろんなタイプの女の人になるでしょう?今日の私は彼女がお手本よ。どう?」
と、みのりは腰に手を当てた。
「どうって…。いや、でも、随分違うし…。」
そっけなくしか返答できなかった遼太郎だったが、みのりの決めポーズに内心はどぎまぎして、何と答えていいか分からなかった。
「何だ…。やっぱり違うよね。……って、今日はステージにも立つし、大臣の接待もするから、盛装して来いって言われたからしたまで、だしね。」
みのりがおどけたように両手を上げて肩をすくめると、いつものみのりの感じが確かめられたようで、遼太郎はほのかに笑った。
――峰不二子とは違うけど、ずっと先生の方が綺麗だし……。
本当は声に出して伝えたかったが、胸が高鳴って、頭の中で語りかけるので精いっぱいだった。
「でも、私、盛装って言えるスーツ持ってないから、これ、5年前に買ったお見合い用よ。」
「……は?お見合い?」
突拍子もないみのりの話の展開に、遼太郎は思わず合いの手が口をついて出た。