Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「あの、指定校推薦なんですが……。」
と、遼太郎が言いかけた時、みのりの顔つきが変わった。
「指定校推薦、決まった?」
「はい。」
「法南大学?」
「はい。」
「……。」
言葉を詰まらせたみのりの表情が、驚きから安堵へ、そして歓喜へと移り変わった。肩で大きく息をして、いつもよりも際立った大きな瞳が潤んで輝きを増す。
みのりのその様子を見て、遼太郎の胸は愛しさと切なさで、張り裂けそうになった。
「……よかったねぇ。」
みのりはようやく短くそう言うと、本当に嬉しそうに微笑んだ。
遼太郎は、指定校推薦が決まったことはもちろん嬉しかったが、みのりにこんな顔をしてもらえることの方が嬉しかった。また、こんな笑顔を見るためだったら、どんな努力でも出来そうだった。
「でも、『おめでとう』を言うのは、合格してからにしとく。」
指定校推薦は、ほぼ合格することは確実だが、入試当日までに何があるか分からない。
みのりの言葉は暗に、これからラグビーの花園予選と同時に入試の準備をしなければならないことを示して、気を抜かずに頑張るように激励するものだった。
心得た視線を投げかけ、遼太郎は頷いた。